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プラチナとパラジウム2

 プラチナは主にディーゼル車に、パラジウムは主にガソリン車に使われるというが、それは割合の問題であって、どちらか一方だけが使われるわけではない。  

ガソリン車は、ガソリンを点火プラグで燃焼させる。一方ディーゼル車は軽油を圧縮して自然発火させる。10年ほど前はどちらも将来の有力自動車内燃エンジンであった。自然発火させるディーゼル車の方が地球温暖化ガスの排出量は少ないという論文もあった。

ところが2015年フォルクスワーゲンは排ガス規制を逃れるソフトウェアを搭載していたとされ、世界で一斉に捜査が行われ、結局同社は米国に1兆5千億円の課徴金を支払うことになった。さらに欧州では高等裁判所が一定地域のディーゼル車の乗り入れを禁止する判決を下した。また、アウディーの前会長は排ガス処理不正にかかわった疑いでドイツ検察当局に逮捕された。三菱自動車の不正もそうであるが、排気ガスの正常化はどの自動車会社も行っている。そして当然のことながら、排気ガスの処理は問題なく行われている。問題は、その報告を怠ったり、改ざんしたという手続き上のミスである。当事者は懸命に排気ガスは正常化されていると訴えていたが、世間はそう見なかった。そのためディーゼル車の売れ行きは見る間に落ち込み、ディーゼル車が多かった欧州車は凋落していった。

 そうなると当面はパラジウムを多く使うガソリン車の独壇場である。しかし、ガソリン車もいずれ電気自動車にその地位を譲ることになるだろう。バッテリーの開発により長時間走行が可能になるかどうかが今後の課題である。筆者は、商社マン時代鉛亜鉛錫チームの長をしたことがあり、全国のバッテリーメーカーを訪問したことがあるが、すでにあらゆる金属の電位差は調査されつくしており、電池の材料はほとんど目新しいものはなかった。そんな中でソニーがリチウムイオン電池を開発した。リチウムという素材は、水と猛烈に反応して爆発を起こす。ソニーの工場では何度も事故が起こったが、それを克服して生産することに成功した。

 それでも皆さん携帯のバッテリーは未だに毎日充電しないといけない不便さを感じておられるはずだ。電池の世界は限界に達しており、何らかのブレークスルーが必要とされるが、テスラやパナソニック、中国企業等が現在しのぎを削って開発競争を行っている。

 その一つに燃料電池がある。燃料電池は上記のような電池とは違ってそれ自らが発電所である。100年以上前イギリスの学者が水の電気分解を逆に行えば電気が生じることを発見している。水を電気分解すれば水素と酸素が出るが、水素と酸素を混ぜれば発電できることを実験して成功した。酸素は空気そのものなので、原料は水素を造ればよい。以前水素スタンドは爆発するという迷信があったが、すでに世界中のガソリンスタンドに水素ステーションができているが、爆発は起きていない。燃料電池は、以前から発電所には必ず装備されていた。
電気は溜めることができない。夏場の猛暑などでクーラー需要が多くなると電力需要が昼間だけ多くなる。通常の水力や火力発電だと、その時間帯の必要電力量を発電し続けていなければならない。その瞬間だけ発電タービンを回すことはできないため、最大発電量にあわせてタービンは回されることになる。そうした無駄な発電を避けるために燃料電池は有効である。なぜならオンオフが効くからだ。電力需要が上がってきたら燃料電池を稼働させれば良いということで、世界の発電所には必ず燃料電池が装備されていた。(以下次号)

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