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香港について(その5)

中国共産党が最も恐れることは、人民の不満の蓄積による反乱である。世界第三位、世界の国土の6.5%を占める土地の上で14億人の人民を一律に統御することはとても困難なことであろう。
習近平総書記にとって、最大の悩みは長老政治家の隠然たる政治勢力であろう。2012年に総書記就任以来、数々の政敵を腐敗撲滅という名目で葬ってきた同書記は、まだ胡錦涛や江澤民といった先輩諸氏の勢力を排除しきったとは言い切れない。ことに江澤民は石油財閥からの資金を数兆円規模で持っていると言われ、簡単に排除できる存在ではない。習近平は未だに権力闘争の渦中にあると言えよう。
中国人は何代もの支配者に対してうわべはかしこまる国民であるが、いずれその権力者の力が衰えることを見越しているため、過度に同じ権力に媚びを売ることは無い人々であると思う。権力者には弱いが、弱い振りをして従うのがうまい、したたかな民族ではないかと筆者は思っている。
いずれにせよ権力闘争の渦中にある習近平総書記は、香港に対しても権力を振るって統制しようとした。それが手痛い反発にあって戸惑っているのではなかろうか。香港の人々にとっては、自分が中国人であるという認識は薄い。中国民族であることは誰しも否定しないが、国家の体制に従う習慣は持っていない。
筆者が仕事のために中国国内に何度も足を運んで感じたことは、誰もが体制に心から心腹してはいないという感触である。支配されている振りをしているに過ぎなく、支配体制はいずれ変わることを承知している。
一方香港の人々は、管理されることに慣れていない。規制そのものが無い世界であり、人々は他人に迷惑を掛けない範囲で、自由にやりたいことをして、もっぱら金儲けにいそしむ人々である。健康保険や年金などの保護の無い競争社会の香港は、世界を代表する資本主義世界だと言えよう。小平はそうした事情を十分認識していた。習近平は、香港を中国に組み入れようとしたが、それは間違いであることに気付いている。それは小平が作った一国二制度を守ると盛んに言い始めていることで推測される。

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