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原油価格上昇は本物か?

8月15日のNY原油価格は+1.25ドル上昇して45.74ドルになっている。8月3日の39.19ドルから+6.55ドル、16.7%上昇している。この上昇は本物で今後上昇基調を続けていくのだろうか?
私は否だと思っている。年初からの原油価格下落により中国の原油生産は落ち込み、ティーポットと言われる地方の中小規模石油精製設備は原油の供給が足りなくなったため、中国政府は、こうした地方政府が管理したり、独立系の中小石油精製設備にも、それまで国有企業にのみ認めてきた原油輸入枠を分配するようになった。それが中国の原油輸入をロシアやカザフスタン等のパイプラインからの輸入を惹起したが、こうした中小石油精製設備がこぞってガソリンと軽油を生産したため、中国国内市場にガソリンと軽油が溢れかえり、それを海外市場に輸出する状況となっている。少なくとも全生産量の1割以上が輸出に回されたため、世界各地でガソリンのダンピング競争が始まり、中国製ガソリンの流入により欧州石油精製企業は米国向けの輸出を増やし、米国のガソリン需要は比較的好調にもかかわらず、ガソリン在庫が増加した。中国の石油製品の増産が世界規模の石油製品在庫積み増しを呼んでいる。
このところ原油価格が上昇している一因は、ベネズエラの強い働きかけによりロシアが9月27日〜28日にかけてアルジェリアで開催される産油国会議で協調減産に前向きとなり、これに最近サウジアラビアも協力姿勢を見せていることが挙げられる。こうした減産の掛け声がまとまることは、1月開催されたドーハの会議で流局となったことに比べれば、はるかに改善された状況であるが、果たして減産の協定締結が可能なのか、また仮に決議をしてもそれが守られるのかについては疑問であり、実効があるかないかはまだ雲の中である。
基本的には米国や欧州の景気は緩やかに回復しているが、石油製品の需要がそれによって増加するかどうかは疑問である。こうした先進国の石油製品需要はすでに頭打ちとなっているからだ。世界の原油需要を押し上げるのは新興諸国におけるモータリゼーションによる輸送用燃料の需要増であるが、中国の自動車販売が過剰在庫の積み上げを形成しているとすれば、いずれ販売が急減する時期が訪れるであろう。中国経済については、常に過剰が付きまとう。適正な生産をするよりは、他人より早く多く作って先に利益を上げて後は知らないというその場限りの経営姿勢が中国企業の特性となっている。その場限りの企業運営は、一時的に大儲けをしてふり浮利を得るかもしれないが、永続性が無い。企業経営も投機的な体質を持っている。世界経済の発展の背後にこうした中国のなり振り構わぬ姿勢が隠れており、それがいつまで持続可能なのかが今の問題であろう。
こうした観点から原油価格がこのまま上昇するとはとても思えない。ただし、金融投資家がETFを通じて買いまくるなら、少し状況は異なる。上記の背景を知らずに、原油は高くなるという投機的な動きがあれば、上昇基調も少しは継続するかもしれない。しかし、長続きさせるには相当の資金が必要となるであろう。

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