- 2018-03-07 (Wed)10:45
- 近藤雅世
- マーケット全般
先週慶應大学白井さゆり教授のお話を聞く機会があった。元コロンビア大学教授。IMF職員、また日銀の審議委員であった同教授のお話は大変詳しくわかりやすかった。その中で二つの理解があった。一つは『なぜ日本円は有事の時に安全通貨として買われるのか』といいう疑問と、もう一つは『なぜ日銀はインフレを2%まで高く誘導しようとしているのか』というものである。後者の説明は次回に譲るとして、今回はなぜ北朝鮮のミサイル発射や最近では世界同時株安の時に円が買われて円高になるのかという点について受け売りの解説をしたい。
まず、安全通貨とは何かという点であるが、戦争等の有事や経済危機等が起こり、投資家たちの間で「どんどんリスクを取って儲けよう」という意欲が弱まった時(リスクオフの時)に買われる通貨のことである。
かっては「有事のドル買い」であったが、現在は安全通貨は「日本円」と「スイスフラン」となっている。2008年に起こったリーマンショック後の世界金融危機以降、この2つの通貨が他の通貨全般に対してたくさん買われるようになった。
その理由は二つある。ひとつは、どちらの国も長い間低インフレだったために低金利だからである。(インフレと金利は連動する)こうした国の通貨は、投資家が投資に必要な資金を調達する時の通貨(「調達通貨」)になりやすい。
たとえば、投資家が積極的にリスクを取る資産運用の方法に「キャリートレード」と呼ばれるものがある。これは金利の低い通貨で調達した資金を金利の高い通貨に換え、高い金利で運用し、その金利差で稼ぐという方法である。
日本円やスイスフラン等の低金利の国の通貨は、このキャリートレードで「調達通貨」になりがちである。なお、円やスイスフランは金利の高いドルや新興国の通貨に交換されるため、有事で買われた円やスイスフランも、キャリートレードが多くなると、売られて円安やスイスフランになりやすい傾向もある。
理由の二つ目は、日本もスイスも経常収支が黒字で、対外純資産(海外で保有している資産から負債を差し引いたもの)もたくさん持っていることが挙げられる。
たとえば、2016年の経常収支はドイツ、中国に次いで第3位であり、対外純資産は2016年末時点で日本は世界1位、スイスは6位となっている。これほど大量の資産を持っているが故に、両国ともその通貨は「安全」と見なされやすい。
また、最近ではスイスフランの方が日本円より割り高なのでスイスフランよりも日本円の方が買われやすくなっている。
まず、安全通貨とは何かという点であるが、戦争等の有事や経済危機等が起こり、投資家たちの間で「どんどんリスクを取って儲けよう」という意欲が弱まった時(リスクオフの時)に買われる通貨のことである。
かっては「有事のドル買い」であったが、現在は安全通貨は「日本円」と「スイスフラン」となっている。2008年に起こったリーマンショック後の世界金融危機以降、この2つの通貨が他の通貨全般に対してたくさん買われるようになった。
その理由は二つある。ひとつは、どちらの国も長い間低インフレだったために低金利だからである。(インフレと金利は連動する)こうした国の通貨は、投資家が投資に必要な資金を調達する時の通貨(「調達通貨」)になりやすい。
たとえば、投資家が積極的にリスクを取る資産運用の方法に「キャリートレード」と呼ばれるものがある。これは金利の低い通貨で調達した資金を金利の高い通貨に換え、高い金利で運用し、その金利差で稼ぐという方法である。
日本円やスイスフラン等の低金利の国の通貨は、このキャリートレードで「調達通貨」になりがちである。なお、円やスイスフランは金利の高いドルや新興国の通貨に交換されるため、有事で買われた円やスイスフランも、キャリートレードが多くなると、売られて円安やスイスフランになりやすい傾向もある。
理由の二つ目は、日本もスイスも経常収支が黒字で、対外純資産(海外で保有している資産から負債を差し引いたもの)もたくさん持っていることが挙げられる。
たとえば、2016年の経常収支はドイツ、中国に次いで第3位であり、対外純資産は2016年末時点で日本は世界1位、スイスは6位となっている。これほど大量の資産を持っているが故に、両国ともその通貨は「安全」と見なされやすい。
また、最近ではスイスフランの方が日本円より割り高なのでスイスフランよりも日本円の方が買われやすくなっている。
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