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中国の原油需要減少傾向

9月に入り米国のドライブシーズンが過ぎると、冬場にかけて、原油の需要は例年低調となり原油価格は弱含みとなる一般的な傾向がある。それとは別に、今年は、中国の原油需要が減退する可能性がある。
中国の7月の原油輸入量は日量平均818万バレルと1月以来の低水準だった(前年比約+12%増、前月比約▲7%減)。8月の原油輸入量も日量平均800万バレルと、昨年11月以来の低水準となった(前年比+3.4%増、前月比は▲2.2%減)。8月が低水準だった要因は、政府の環境調査で安全上の問題を指摘された一部の独立系製油所(ティーポット)がメンテナンス作業のために予想以上に長く稼働を停止したことだと言われる(9月8日付ロイター)。

2015年7月に原油輸入を許可された「ティーポット」は、ロシアなどから質の良い原油を輸入し国内で石油製品(ガソリン・軽油など)を販売することで急成長を遂げた。昨年前半には日量100万バレルを超える規模の原油を輸入するプレーヤーに成長し、中国全体の原油輸入量拡大の牽引役となっていた。

一方、中国の原油需要は日量1100万バレル前後で頭打ちとなり、国内での石油製品の供給過剰が深刻さを増している。今年から石油製品の輸出を政府から止められた「ティーポット」は国内での安値販売攻勢を強めているため、国内市場から締め出された3大国有石油会社は石油製品の輸出を拡大した。日本にもスポットでガソリンが輸出されているようだ。だが生産コストの高止まりなどから700億元近い赤字が累積していると言われている。このため夏場の需要期である6月から大手石油会社は原油精製量を減らし、7月の原油精製量は2カ月連続のマイナスとなった。減少幅は▲4.4%と2014年以降で最大となっている。

こうした事情から、政府は輸入割当と環境規制の面から「ティーポット」に対する締め付けを強めた。それを受けて「ティーポット」側も設備の集約を進める動きが活発化しており、「ティーポット」の製油能力は今後最大▲50%削減されるとの観測が出ている

「ティーポット」とともに中国の原油需要を下支えしてきたガソリン需要も息切れしている。民間機関の調査によれば、今年1〜4月の中国のガソリン消費は統計開始後初のマイナスを記録した。

背景にあるのは、政府のクリーンエネルギー自動車の導入拡大政策の効果が出始めていることである。政府の目標によれば2020年までにクリーンエネルギー車の生産能力は200万台に達し、累積販売台数は500万台を超えることになる。

9月9日、中国政府は天津市で開催された自動車フォーラムで「化石燃料車の生産・販売の終了に向けたスケジュールの作成に取り組んでいる」ことを明らかにした。ガソリン消費は今後も低迷することはあっても増加する可能性は少ないだろう。

中国共産党は「10月18日から第19回党大会を開催する」旨を公表したが、「党大会終了後に中国経済がハードランディングするのではないか」との懸念が高まっている。バブル崩壊が起きるかどうか定かではないが、中国経済が急減速するリスクは着実に高まっている。中国石油天然ガス集団(CNPC)は8月16日、「中国の原油需要の伸びは2020年までに年率2.7%で推移し、その後1.2%に鈍化し、2030年にピークを迎える」との予測を示した。だが、足元の状況を見れば「絵に描いた餅」と言わざるを得ない。

民間需要が伸び悩む中で「最後の砦」は政府による原油備蓄の積み増しである。詳細なデータが公表されていないが、その規模は今年初めに既に6億バレルを突破し、米国の戦略石油備蓄(SPR)の規模(6.789億バレル)を凌駕している可能性が高い。中国の原油輸入量の伸びがこのところ急速に鈍っていることから、「原油備蓄の積み上げにいよいよ歯止めがかかり、原油輸入量の伸びが年末までに日量平均で10万バレルにまで急減する」との観測が出始めている
(以上 独立行政法人経済産業研究所より)

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