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不透明感に覆われた2017年

酉年は商売に縁起の良い年だそうだが、果たして商品価格にとってはどうであろうか。

ドル高にもかかわらず年初からニューヨークの金銀白金価格は上昇している。ただ貴金属価格にとって、今年のネックは米国の利上げである。昨年のように利上げが米国株価に影響して株安の不安が出れば、金価格は上昇する余地があるが、年3回の利上げが毎回のFOMCで予想されるたびに、金価格はプレッシャーを受けることになるだろう。金利のつかない金価格にとっては、利上げは難敵である。

もう一つの金の難敵はドル高である。トランプ次期政権の政策を囃してドルが買われており、それが米国株価高にもつながっている。問題は、トランプ次期政権の政策の実効性である。

米国の会計年度は10月以降であり、新年度の予算編成で初めてトランプ次期政権の政策が反映される。つまり今年の10月以降のことである。その前に予算の歳入が審議され、歳入不足から財政赤字に対する対処が議論される。そうした予算作成の過程において、トランプ新大統領が選挙中に公約した政策が、どこまで具体的に実現するかが今後の見ものとなる。

そうした中で一層政策に対する期待感が強まるか、あるいは絵に描いた餅として人々を幻滅させるかによってドル高、米国株高は、更に一層強くなるか、あるいはドル高が減速するかが決まってくると思われる。ドルはかなり買われているので、ほころびが出ると、一斉に売られる可能性がある。従って、今年の金価格はこうしたドル高がどこまで続くかが一つの目安となると思われる。これは原油価格等他の商品価格にもあてはまる。

一方、トランプ政策における減税やインフラ投資は米国の財政赤字の拡大を伴う。それはインフレ懸念となるので、金価格には有利に働く。
トランプ政策の保護主義的側面は、WTOを巡る訴訟合戦や様々な国際間の軋轢を産む可能性がある。

また欧州においては,イタリアでは年内に解散総選挙が見込まれ五つ星運動が過半数を握る可能性がある。同党は欧州離脱を模索している。3月にはオランダ総選挙、5月にはフランス大統領選、6月にはフランス総選挙、8〜10月ドイツ下院選挙があり、欧州の政権交代の可能性がある。それはEUの離脱の国民投票等に発展する可能性があり、欧州政治は不安定になる可能性がある。そうした地政学的リスクは金価格を支えるだろう。

年初から、かなりの不透明感に覆われた2017年の始まりとなっている。

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