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過去の記事 - 2016 / 03 -

ETF・ETNからの買いが増えれば急落する可能性あり

  • 2016-03-16 (Wed)
  • 近藤雅世
東京金価格は、3月7日の4622円を天井に4447円まで下落している。▲175円安、▲3.8%下落している。明日3月16日は米国連邦準備制度理事会が公開市場委員会を開催する。事前予想では利上げは無いと見られている。記者会見におけるStatement米国の経済状態や雇用環境がBalanceしているという12月のFOMCにおけるStatementに記載された文言が今回も入るかどうかが注目されている。バランスしているなら、今回は利上げしないが、次回の4月26日〜27日のFOMCかその次の6月14日〜15日のFOMCで利上げが行われるというサインとなるという。今年は3回、来年は4回の利上げがあるという表現があるかどうかも注目されている。
NY金価格は、昨年12月1日を100とすると、3月11日時点で118.3と12月以来18.3%の値上がりとなっており、東京金は同じく109.4と+9.4%の値上がりである。この差8.9%はドル円がこの間に92.6と、7.4%円高になっていることが要因となっている。ぴったり数値が合わないところが完全にアービトラージが行われていない証拠でもある。
NY金や東京金の12月1日からのグラフをそれぞれダウ平均株価と日経平均株価と合わせて描くと、12月からの前半は金高、株安となっており、2月11日以降は株高でかつ金高となっている。一概に断定することはできないが、概して株安の金高である。

またNY金とドルインデックスをグラフ化すると、2014年1月からのグラフでもドル高の金安がはっきり表れているが、12月1日からのグラフでは、ドル安の金高が明白となっている。


最近の金価格と原油価格の動きの背景には株式投資家が金や原油のETFを通じて買っていることが特徴となっている。先物投資家の出来高は先細っているが、東京商品取引所における原油の出来高は多くを原油ETNのヘッジ買いが証券会社から入っていることにある。この特徴は、買いから入るという点である。原油価格も26.11ドルという安値を付けて売られ過ぎで反発するだろうという思惑から原油需給の緩みにもかかわらず買い上がっている。そして、こうした買いは価格の下落に弱いことが上げられる。ファンドの動きでも買いが一方的に溜まるといずれ売り閉じによる急落があり得る。いまの時期はこうしたETNによる原油買いが、価格の下落を見てプロフィットテイクの売り閉じをすることがあるのではないかと思われる。それは大幅な原油価格下落になって表れるのではなかろうか。同様なことが金についても言える。

わかりにくい相場だが、たぶん反落ではないだろうか

  • 2016-03-09 (Wed)
  • 近藤雅世
東京金も東京原油も東京ゴムもみな上げ調子になっている。
東京金は、1月15日の4,046円から3月7日には4,622円まで+576円、+14.2%上昇した。ことに3月4日は一日で+71円、+1.6%の急騰であった。しかしその背景に何があるというわけでもない。1月初めから世界の株価が急落し、株式投資から離れた資金が割安な金に向かって金ETFが売れた。しかし、今や世界の株価は下げた分を取り戻して上昇している。リスクオンとかリスクオフというわけのわからない解説では説明できない状況である。しかも金はすでに割安ではなくなっている。金が高くなる要因として今後あるとすれば中国の不良債権処理や、過剰設備の問題であるが、5日から始まった中国の全人代では習近平政権が構造改革の推進や減税等の対策案を示すものと思われる。少なくとも13日の閉会までは何事も起きないであろう。

東京原油価格は野村証券の発行する原油ETNが売れて、そのヘッジ玉が東京商品取引所に流れ込んでいる関係から、急騰を見せている。しかし、売られ過ぎだという感覚以外に原油価格が大幅に上昇する要因は見当たらない。サウジアラビアはあれほどロシアやカタール、ベネズエラから迫られても、かたくなにシェア確保の方針を崩していない。産油国は減産を行う余裕はなく、イランは経済封鎖解除による増産を目論んでいる。どの産油国も下落した原油価格を補うためには量を販売するしかない。一方で、原油の需要が増加するという話はどこにもない。原油需要増加の過半は新興諸国のモータリゼーションによるものだが、BIRCS各国の経済は沈没寸前である。新興諸国国民の財布は締まることはあっても緩む余裕はないだろう。こうしたファンダメンタルから考えると、今とても原油を買う気にはならない。あるとすれば売りだろう。
東京ゴムも、原油価格につられて上昇しており、また3月1日から61万5千トンの輸出削減をインドネシア、タイ、マレーシアが行うと宣言しているが、実際にできるかは疑わしい。とりあえず東京ゴム価格は上昇して反応しているが、失望売りがいつ出てもおかしくないだろう。
まだまだ商品価格は一筋縄で理解できるほど簡単な様相は呈していないと思う。

金は一時的に下がるか?

  • 2016-03-02 (Wed)
  • 近藤雅世
先週わかりにくい季節に入っていると述べたが、まだその状況は続いている。NY金価格は昨年末の12月3日の1045.4ドルを底値に今年に入って急騰し、2月11日には1263.9ドルを付け、20.9%上昇したが、その後もみ合いに転じている。感覚的には押し目を作ると思っている。なぜなら、NY金に対するファンドの買いが5週連続で増加しており、ネット買い残が膨らんでいるからだ。金のネット買い残は昨年12月15日段階で、1万3,656枚しかなかった。それが、今年に入って1週の小幅減を除いて7週連続で万単位で買われており、2月23日時点では17万8,979枚と13倍に増加しており、17万枚のネット買い残は、昨年2月10日以来一年ぶりの多さである。こうした買い残はどこかで売り閉じられるものと思われる。したがって短期的に下押しがあるのではないだろうか。
ただ、中長期的には中国の不良資産の問題が世界経済に重くのしかかっている。OECDの経済開発会議議長によれば、現時点の世界の企業の負債総額は2007年のそれを上回っているという。世界の中央銀行は、何度も金融緩和という流動性を増す手法でこれに対処してきたが、実は中央銀行は資金不足に対応する手段は持っているが、債務超過を正す方法は持っていないと述べている。借金を新たな借入によって返済しても、借金は膨らむばかりで抜本的な解決にはならない。新しい収益を見つけるか、または誰かが痛みを伴って債権を切り捨てる以外に整理する方法は無い。困ったことに、中国は一党独裁国家である。民主主義国家であれば、企業整理により多くの失業者が出ても、選挙により代わりの政権が担当することになり、政治問題にはそれほど発展しない。しかし、硬直した独裁制では、民衆の不満は政権打倒に向かう。それに対して北朝鮮のような強権発動で押さえつけるか、ロケットを打ち上げて対外的な緊張関係に大衆の目をそらすか、いずれにせよ経済問題で済む話が政治問題に発展する。こうした中国の行く末を想像すると、これから一時的に下がるかもしれない金は、下押ししたときに再び買うべきだと思う。ただ、原油は買ってもこうした事態には役に立たないだろう。

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