過去の記事 - 2016 / 02 -
わかりにくい時期
- 2016-02-24 (Wed)
- 近藤雅世
- 金
今は相場の行方が分かりにくい時期に入っている。NY金価格は2月11日1263.9ドルという昨年2月2日以来一年ぶりの高値を付けた後急落し、1210.1ドルになっている。上昇トレンドができたと思ったが、2月11日までのことであり、揉み合いに転じている。こうなるとこの揉み合いの後にどちらに向かうかが方向を決めることになり、今の時点では何とも言えない。その背景には株価が下げ止まったことがある。ダウ平均株価は1月20日15,450ドルまで下落したが、16,620まで7.6%反発しており、日経225は2月12日の14,865円を底値に16,052円まで8%戻っている。上海総合指数も1月27日の2,638.3から2927.1まで10.9%上昇。株価の反発と共に、先行きの不安が解消されつつある。世界の景気は決して良くなく、企業業績も低迷しておりとても大盤振る舞いの賃上げを認められるほどゆとりはないが、今後どうなるだろうというほどの恐怖感もない日本人には慣れ親しんだ状態である。
日本の債券ディーラーはほんの僅かの金利の動きを追う日々がここ数十年続いていたが、いよいよマイナス金利との闘いとなり、とても利ザヤを抜くような状況とは程遠くなっている。資金の運用をせざるを得ない立場のディーラーは、貸し付けも金利の利ザヤもダメで、最近欧米のブリオンバンクは金等の商品投資からも撤退している。今後金融機関の資金運用はいったいどうなるのであろうか。銀行や保険会社の株価が下がるわけである。
さて、商品投資の世界に戻ると、こうした時期は、投資を休むか、どうしても投資するなら一定のレンジ(相場の上下幅)を決めて、下限に達したら買い、上限近くなったら売るというこまめなサヤを取るしかないだろう。そうした操作は最も難しい技術の部類に入る。
日本の債券ディーラーはほんの僅かの金利の動きを追う日々がここ数十年続いていたが、いよいよマイナス金利との闘いとなり、とても利ザヤを抜くような状況とは程遠くなっている。資金の運用をせざるを得ない立場のディーラーは、貸し付けも金利の利ザヤもダメで、最近欧米のブリオンバンクは金等の商品投資からも撤退している。今後金融機関の資金運用はいったいどうなるのであろうか。銀行や保険会社の株価が下がるわけである。
さて、商品投資の世界に戻ると、こうした時期は、投資を休むか、どうしても投資するなら一定のレンジ(相場の上下幅)を決めて、下限に達したら買い、上限近くなったら売るというこまめなサヤを取るしかないだろう。そうした操作は最も難しい技術の部類に入る。
金は上昇トレンドに乗ったか
- 2016-02-10 (Wed)
- 近藤雅世
- 金
NY金価格は、12月3日の1045.4ドルを底に2月8日は、1197.9ドルに+152.5ドル、約4割上昇している。ギャンの理論によれば、陽線が3本続くと上昇トレンドとなるというが、1月初めからすでに3回、3本連続の陽線が出ているので、金価格の上昇トレンドは本格的になったと思われる。
価格上昇の要因は様々考えられるが、まず最初に言えるのは、金価格は2011年9月以降長らく低迷しており、今年1月まで52カ月弱気相場が続いていたが、1970年代以降の4回の金価格低迷期間は平均52カ月であり、そろそろ弱気相場が終わっても良い時期であり、金価格には割安感が出ていることが背景にあることである。
二つ目の要因として、金の新規鉱山開発は1995年にピークを迎えており、新規開発から鉱脈が尽きるまでの期間が平均20年と言われており、昨年が新規開発鉱山の生産のピークを迎えているという。金は天然資源であり、いずれ鉱脈は尽きる宿命にある。そのため、最近金鉱山株価が上昇している。
また1100ドル程度の金価格でば金鉱山が収益を挙げるのは難しく、鉱山会社は新規投資を手控える。こうした動きは今後の金の供給に影響を及ぼすだろう。むろん世界に13万トンあると言われる金の地上在庫があるので、供給不足になる恐れはないが、スクラップの発生は低価格のために止まっており、以前は隆盛した金の買い取り業者も発生量が少ないため最近はダイヤモンド等の買い取りに鞍替えしている。
三つ目はドル安である。昨年秋に旺盛であったファンドのドルインデックスに対する買い増しはこのところ少なくなっており、ネット買い残は2月2日時点で4万4千枚と昨年3月の8万2千枚から半減している。ドルは2014年初めを100とすると2015年3月24日に124.3の高値を付け、今年1月29日に123.5とそれ以来のドル高となったが、2月4日には119.7まで約▲5%急落している。米国雇用統計は非農業就労者数が予想より少なく、場合によっては3月の再利上げは見送られる可能性もでてきた。ドル高はここ2年間、金安の原動力であったが、ドル安は金高の原動力になるであろう。
四つ目は、中国の不気味な経済破綻の恐れである。何度も述べられておりその後特に表面化していない中国の危機は、不良債権、土地等の不良資産、不良在庫、過剰設備等、国有企業でなければ、金融機関が融資を引き揚げて倒産していてもおかしくない状態が長らく続いている。そろそろ中国企業が発行した社債がデフォルトになると格付け機関は警報を鳴らしている。年初から中国の株価は騰落を繰り返しているが、背後にはこうしたアンサステイナブルな国有企業の延命がある。こうした事態は今後好転する可能性は少なく、中国から逃げ出す外資が人民元を売っており、人民銀行は人民元の買い支えにもやっきとなって外貨準備は急激に減少している。こうした事態を冷静に見る中国人投資家は、資産を株式投資や預金から金に移し替えることは十分考えられる。世界一の金需要国は、家計に金塊を積み上げて自己の資産の安全逃避先しているが、この動きは加速するものと考えられる。
金ETF残高は、2月4日時点で1341トンと二週連続で増加し1カ月前から比べて+97トン、+7.8%増えている。金価格は今後短期的な反落はあるとしても、長期の流れは金高方向に向いていくのではなかろうか。
価格上昇の要因は様々考えられるが、まず最初に言えるのは、金価格は2011年9月以降長らく低迷しており、今年1月まで52カ月弱気相場が続いていたが、1970年代以降の4回の金価格低迷期間は平均52カ月であり、そろそろ弱気相場が終わっても良い時期であり、金価格には割安感が出ていることが背景にあることである。
二つ目の要因として、金の新規鉱山開発は1995年にピークを迎えており、新規開発から鉱脈が尽きるまでの期間が平均20年と言われており、昨年が新規開発鉱山の生産のピークを迎えているという。金は天然資源であり、いずれ鉱脈は尽きる宿命にある。そのため、最近金鉱山株価が上昇している。
また1100ドル程度の金価格でば金鉱山が収益を挙げるのは難しく、鉱山会社は新規投資を手控える。こうした動きは今後の金の供給に影響を及ぼすだろう。むろん世界に13万トンあると言われる金の地上在庫があるので、供給不足になる恐れはないが、スクラップの発生は低価格のために止まっており、以前は隆盛した金の買い取り業者も発生量が少ないため最近はダイヤモンド等の買い取りに鞍替えしている。
三つ目はドル安である。昨年秋に旺盛であったファンドのドルインデックスに対する買い増しはこのところ少なくなっており、ネット買い残は2月2日時点で4万4千枚と昨年3月の8万2千枚から半減している。ドルは2014年初めを100とすると2015年3月24日に124.3の高値を付け、今年1月29日に123.5とそれ以来のドル高となったが、2月4日には119.7まで約▲5%急落している。米国雇用統計は非農業就労者数が予想より少なく、場合によっては3月の再利上げは見送られる可能性もでてきた。ドル高はここ2年間、金安の原動力であったが、ドル安は金高の原動力になるであろう。
四つ目は、中国の不気味な経済破綻の恐れである。何度も述べられておりその後特に表面化していない中国の危機は、不良債権、土地等の不良資産、不良在庫、過剰設備等、国有企業でなければ、金融機関が融資を引き揚げて倒産していてもおかしくない状態が長らく続いている。そろそろ中国企業が発行した社債がデフォルトになると格付け機関は警報を鳴らしている。年初から中国の株価は騰落を繰り返しているが、背後にはこうしたアンサステイナブルな国有企業の延命がある。こうした事態は今後好転する可能性は少なく、中国から逃げ出す外資が人民元を売っており、人民銀行は人民元の買い支えにもやっきとなって外貨準備は急激に減少している。こうした事態を冷静に見る中国人投資家は、資産を株式投資や預金から金に移し替えることは十分考えられる。世界一の金需要国は、家計に金塊を積み上げて自己の資産の安全逃避先しているが、この動きは加速するものと考えられる。
金ETF残高は、2月4日時点で1341トンと二週連続で増加し1カ月前から比べて+97トン、+7.8%増えている。金価格は今後短期的な反落はあるとしても、長期の流れは金高方向に向いていくのではなかろうか。
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