過去の記事 - 2010 / 06 -
金の強気の背景
- 2010-06-29 (Tue)
- 近藤雅世
- 金
金の強気の背景は、米国の金融不安と欧州の金融危機であった。どちらも一段落しているが火種が消えているわけではない。米国の銀行倒産件数は、先週25日時点で1月から95行を数えることができる。昨年は140行だったので、すでに昨年以上のペースで米国では金融機関が倒産している。背景には住宅不況があるだろう。ケースシラーの住宅指数は3月までしか出ていないが、ロイターの住宅価格指標では、少し上昇傾向がみられる。しかし、400万戸の中古住宅在庫の他に300〜500万戸の影の在庫を銀行が担保流れとして抱えていると言われ、当分米国の住宅価格は上がらないだろう。(つづく)
金価格は短期的には天井か?
- 2010-06-21 (Mon)
- 近藤雅世
- 金
先週金曜日NY金価格8月限は前日比9.5ドルUPの1258.30ドルと史上最高値を更新した。その後、NY金価格は、横ばいとなっている。金価格が上昇する要因は、欧州の金融不安や米国の金融不安、あるいは、インフレ懸念といったところであるが、ハンガリーの問題はそれほど騒がれずに終わっており、ギリシャもカツェリ経済・競争力・海運相は19日、政府の国内投資を促進する取り組みが実現すれば、低迷する同国の経済成長率が来年プラスに転じるとの見通しを示した。すでに欧州経済危機はのど元を通り過ぎており、さほどの不安感はなくなっている。米国の失業保険申請者数が予想より多かったとはいっても、個人消費はそれほど落ち込んでおらず、回復傾向にあるとみてよいだろう。インフレはインド以外の国ではそれほど話題になるような物価上昇は起きていない。こうしてみると、金だ金だと言うほどの要因は少ないように思える。18日公表の15日までのファンドのネット買い残は、26万5983枚とこれまえの最高の28万626枚(09年10月13日)に迫る多さとなっている。これは買われ過ぎの兆候ではないだろうか? 金価格は短期的には天井に近いと思う。
金は横ばい、原油は上昇
- 2010-06-10 (Thu)
- 近藤雅世
- 金
8日のNY金は15.7ドル下落して、1229.9ドルになった。一方NY原油は、2.39ドル上昇して、74.38ドルになった。この差は何だろうか?これまで欧州の財政危機により、欧州の金融機関が倒産するのではないかとの不安があった。しかし、冷静になって考えてみれば、欧州の金融機関が仮に倒産するとしても数年後の話である。ギリシャは当面の資金繰りはついたので、将来の借りた金の返済がとてもたいへんになるとは思われるが、今すぐデフォルト(債務不履行)になる可能性はない。一方で、米国の景気指標は回復を示している。鉱工業生産は上昇し、個人消費が伸びている。日本でも、消費者の買い控えは終わったような雰囲気である。住宅関連産業やゼネコンは受注減で当分業績回復の見込みはないが、それ以外の産業には、徐々に明るさが見えてきた。昨今の株価の下落は、最後の調整安であるのではないだろうか。そうした雰囲気が、金価格を下げ、原油価格を上げている。産業用基礎資材の価格は景気とともに上昇する。金については、いずれインフレが来るという可能性があるので、未だ買われるかもしれないが、少し調整の時期であろう。
金価格は下がるのではないだろうか。
- 2010-06-02 (Wed)
- 近藤雅世
- 金
金融関係の人々は物忘れが早いという。鋭い痛みも、不安も何日か過ぎると感じなくなってしまい、同じようなニュースには市場は反応しなくなる。ギリシャから端を発した欧州の経済危機も、そろそろ飽きが来る頃だ。だから、さしもの金価格も上昇の度合いを緩め、ひょっとすると下落し始めるかもしれない。金には金利がつかないので、ある程度価格が上がったら、プロフィットテイクをしないと利益にならない。誰もが、買いだと思っているときに、プロは密かに売り抜ける。現在の情勢で、特に、新たな不安要因が無いとすれば、金価格はそろそろ天井を迎えるのではないだろうか。
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