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過去の記事 - 2019 / 04 -

マクロ経済の動きと商品価格

 マクロ経済と言えるかどうかわからないが、今朝のイラン産原油の禁輸措置に対する中国を初め日本や韓国インド等8カ国の適用除外が5月1日に解除とのアメリカの措置は当然のことながら原油価格を押し上げた。イランは経済封鎖がされるまでは日量300万バレルを輸出していたが、4月は100万バレルを下回り、トランプ政権は輸出ゼロを目指している。
 この背景には、サウジアラビアやUAE等がOPEC諸国の協調減産を少し緩めて増産しやすくするという配慮があるのかもしれない。夏場の需要期を迎えての減産は、収入減にもつながり、また、減産によりシェアを米国などに奪われる恐れがある。OPEC諸国とロシア等の非OPEC諸国は6月に総会を開催するが、ロシアは長くて3か月の延長しかしないと年末までの延長は保証できないとしている。それだけ原油の生産が減るのは国庫収入に響くのであろう。こうした事情はロシアに限ったことではない。

 以前は世界の原油需給バランスを図るのに、OPECの余剰生産能力という指標が使われていた。しかし、シェールオイルの発見以降この言葉で需給バランスを示すことはなくなった。なぜなら、OPECが需給のカギを握っていた時代は終わったからだ。OPECが減産してもその分米国やブラジル等が増産する可能性がある。

 幸いなことに、米国株式市場に上場している43社の石油開発企業の平均原油生産コストは48.3ドルと言われ、現在の65ドルなら、大きな利益と余裕資金が生まれている。したがって米国石油企業はいつでも増産体制にはあるものの、過当競争をして価格を引き下げる愚を侵す必要はなく、OPECが減産すればその売り先にブレント原油価格より安いWTI原油を売り込めばよいことになり、焦って生産する態度にはないことが、毎週公表される石油掘削リグ稼働数に表れている。

 以上のコメントを作る判断材料としては、新規のニュースとそれが与える需給に対する影響度合い、その世界の需給バランスを図る要因の分析としての米国企業の収益性分析などがからんでくる。またOPECやロシア等の財政状態も目安となろう。原油価格の予想には様々な経済指標が必要となる。

マクロ経済の動きと商品価格


 米国の好景気は4月で118カ月に及び、過去最長だった1991年3月の底から2001年3月までの120カ月の好景気に、あと2ヵ月に迫っているという。そんなに景気が良いとは思えないが、2007年頃の世界金融危機から比べると今はぬるま湯に浸かっているようなものである。もっとも、2018年の米国のGDP成長率は+2.9%で、日本は+0.8%と3倍以上の開きがあるので、日本で感じる景気よりは米国の景気の方がはるかに好景気を感じていることであろう。
 こうした好景気と商品価格は、原油価格では需要の好調さに反映される。ただ、原油の需要は、ガソリンや軽油、灯油、ジェット燃料、ナフサ等の石油製品需要によって形成されている。時代と共に自動車排気ガスは環境規制から制限されるようになり、電気自動車が今後の主流と目される。こうした経済の構造変化は商品価格に影響を与える。電気自動車は未だ4%程度と思われ、石油企業は今後もアフリカ等新規に自動車が売れる地域ではガソリン車があくまで主流であると強気の姿勢を崩していないが電気自動車の伸びが今後数十年でどう変わるか、先のことはわからない。
 原油の掘削方法も水平工法や水圧工法が新たに導入されて、頁岩という岩石中に貯留していたシェールオイルをくみ出す方法が開発され、生産量が世界的に拡大した。おそらく旧式の掘削方法のみであれば、年々原油の生産は先細りとなり、原油価格は上昇していたであろう。
 マクロ経済ではないが、こうした技術開発は消費構造のみならず、供給構造にも大きな変革を与える。
 安部首相が掲げた三本の矢は『大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略』であるが、現在の日本の経済低迷の主な原因は、第三の矢が無いためだと思われる。モノ余りの時代で、それ程新たに欲しいものが無く、たとえあってもその金額が小さいので大きな経済効果を産みにくい。自動車やスマホに代わるような新たな産業が発生しなければ、少子高齢化のために国民総生産は横ばいにならざるを得ないだろう。
 そうした時代の商品価格は横ばいの上下動を繰り返す時間が長くなる。投資家としては、いかにそうした横ばいの上下動の中で収益を取るかが課題となっている。

マクロ経済の動きと商品価格

 マクロ経済学をウィキペディアで検索すると、『経済学の一種で、個別の経済活動を集計した一国経済全体を扱うものである。巨視経済学あるいは巨視的経済学とも訳される。マクロ経済変数の決定と変動に注目し、国民所得・失業率・インフレーション・投資・貿易収支などの集計量がある。またマクロ経済分析の対象となる市場は、生産物(財・サービス)市場、貨幣(資本・債券)市場、労働市場に分けられる。対語は、経済を構成する個々の主体を問題にするミクロ経済学。』とある。

 例えば、毎月第一金曜日に公表される米国の雇用統計は、商品価格や為替に影響を与えており、雇用統計ウォッチャーは、金曜日の夜9時頃米国での公表を待機して、公表と同時に為替や金・原油等をトレードしている。こうした統計の公表は、必ず事前予想があり、ロイター等による市場会社が予め経済評論家等を対象にアンケート調査を行っているため、その予想値からの乖離度合いが為替や商品価格に影響している。予想通りであれば、価格はたとえ失業率が大きく動いたとしても、価格にはそれほど繁栄されず、むしろそれまで予想に基づいて先物を売買していた投資家が達成感から反対売買するため、価格は失業率の動きで当然なるべき方向とは反対に動くこともある。市場価格は何よりもサプライズを主食としている。サプライズが起きた時だけ価格は大きく動く。そしてその後その反動が表れる。短期で利益を出した人が手仕舞いをするためだ。だから情報に遅れて反応した投資家は後手後手に回りやすい。

 マクロ経済活動の結果はGDP成長率に現れる。その予兆はさまざまな経済指標から読み取れる。だから経済評論家は四半期ごとに公表されるGDP成長率を的確に予想することが可能となる。経済指標には、PMI(購買担当者指数)等の景況指数と、鉱工業生産指数等の実態経済を示すものがある。経済は人々の活動を表すものだが、活動を行う前に人々の気持ちが繁栄され、気分が委縮すると景気は盛り上がらない。現在のように過去の経済状況には問題ないが、人々が利上げを警戒したり、賃金の伸びが無いかもしれないと消費支出を抑えたりすると、足元の景気は悪くなくとも、徐々に経済は委縮・停滞気味になることもある。そうした場合、支出が差し控えられるため商品需要も減退してくる。金は不要不急の商品なので、よほどゆとりがあるか、逆に将来が不安に覆われる時に買われる商品である。

マクロ経済の動きと商品価格

マクロ経済の動きは、商品の需要動向と大きくかかわってくる。経済成長が著しく、経済活動が華やかな国の商品の需要は、経済成長率以上の伸びを示すことがある。一例がガソリン需要である。
それまで自動車は高値の花であった国の国民は、収入が増えると共に自動車を欲しくなる。中国やインド、そして今後のアフリカ諸国は、残された新たな自動車市場であり、自動車が一台売れるごとにガソリンはより多く必要となる。当初はガソリンを輸入していた国は、石油精製設備が各地で立ち上がり、ガソリンを国産するようになり原油需要が新たに生じる。
一方、こうした経済構造の変化は欧米諸国ではすでに終わっており、自動車保有台数はほぼ飽和状態になっているため、買い替え需要だけとなり、自動車、ひいてはガソリン需要は頭打ちとなる。石油精製設備も飽和状態か過剰となり、先進国における原油需要の伸びは小さくなる。日本の原油需要はほとんど伸びておらず、毎年一定量しか原油を購入しない国となっている。
食料としての穀物も同じ状況にある。それまで豚肉や牛肉は高級食品であった国が経済成長して一人当たり国民所得が増加すると、菜食から肉食に変る。菜食は作物を直接食するが、肉食は作物をいったん動物に飼料として与え、動物を計画的に飼育して初めて食卓に供される。ひと手間余分にかかっている食物であり、その分生産コストは高い。その動物の餌としての穀物需要は、食肉文化の進展と共に増加する。
一方、食料としての穀物や、飼料としての穀物需要も、成熟した先進国では需要は頭打ちとなっている。先進国の人口はおしなべて減少し始めているからだ。人間は一定の食料以上のものは必要ないため、先進国が少子高齢化社会に突入すれば、自然に食料需要は減少する。
だからインドや今後のアフリカのように、未だ人口が増加中の国の食料需要はこれからであるが、先進国や中国の食料需要は頭打ち傾向となる。
これらの傾向は日本の先物市場には入っていない鉄鋼や非鉄金属、建設資材、家庭用品等にも当てはまり、先進国の経済は一定量の物が生産されればそれ以上の商品需要は伸びが鈍化する宿命にある。これが少子高齢化社会の直面する経済社会問題となり、日本経済が20年以上も低迷し始めた直接的な原因となっている。少子高齢化社会であれば、海外からの移民を受け入れれば、それだけ経済は活性化するはずであるが、新しい大きな産業の出現はますます困難になっていく。

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