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過去の記事 - 2015 / 06 -

金価格は上がると思う その2

  • 2015-06-30 (Tue)
  • 近藤雅世
NY金価格は上昇すると思う。
先週も同じことを言い、その後金価格は少し下落してしまい3月以来NY金価格は1140ドルから1230ドルの間を上下しているが、それでもまだ金価格は上がるのではないかと予感している。一つは、サイクル的なもので前回述べたように、毎年6月中旬から7月中旬を底に夏場にかけて上がるという金の季節循環がある。ただし、昨年は過去10年間の唯一の例外であったので、今年も同じということもありえる。
もう一つは、ギリシャであるが、本日の週刊ゴールドのために様々なギリシャに関する英文記事を読んでいたら、先週末の時点では、もしギリシャ政府は、(そんなことはしないと思うがという注釈とともに)銀行閉鎖を伴う資本規制を行ったらたいへんなことになると一様に述べていた。ところが、Alexis Tsipras首相はEUに対し、7月5日の国民投票までEUの第二次支援を待ってくれと要請したが、27日の財務相会合でその提案は受け入れられず、また、欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行向け緊急融資の増額見送りを決定したため、同首相は29日から6営業日、国内銀行の営業を停止した。また預金流出を防止するため資本規制を行う方針も示した。まさかの事態が発生している。
これにより明後日30日のIMFへの15億ユーロの返済はデフォルトになることが確定した。ギリシャ国債がデフォルトしたわけではないが、ギリシャの銀行は立ち行かなくなるだろうし、国債の満期が来れば返済資金はないことになる。EU側はこれまでロシアに擦り寄ったり、かたくなに年金改革などを拒んできたTssipras首相に対し不信感を持っているので、彼が首相でいる限り事態は混乱するであろう。ただ、問題は6月30日までのあと2日間にEUが妥協するという可能性がある点である。この場合混乱は先延ばしとなる。しかし、先延ばしとなってもいずれギリシャはデフォルト作業に入るであろう。なぜならギリシャはEUに、債権切り捨てを要請しても受け入れられなかったが、デフォルトになれば一定の債権は自動的に切り捨てられるからだ。すでにギリシャの債権者は7割以上が各国政府やECBであるが、各国政府は自国民に対し、怠惰なギリシャ国民に無尽蔵な資金援助を行うことを納得させるよりも、デフォルトしたギリシャ国債の債権切り捨ての方が、自国民を説得し易いと思われるからだ。
金価格はギリシャから発する欧州経済の混乱に拍車がかかれば、上昇すると思われる。ただし、6月30日までにEUが例えば国民投票後まで第二次資金援助の停止を解除するか、ECBかIMFがつなぎ融資を行うか、などの対策が取られれば、金価格は一時的に落胆して下がるだろう。また、EUの混乱はユーロ安・円高を招き、円ベースでの金価格は下げ圧力を受けることになる。
最後に中国の株価が5月28日、6月16日、18日、19日、25日、26日とつごう6回の大幅安を記録しており、6月12日の5178.1の高値は先週末4527.と▲650.4,▲12.6%下落している。日経平均株価が10日間で6月24日の高値の20,952円から▲2,632円下落するようなものである。中国株はPER(株価収益率)が95倍と高く(日本は18倍程度)、まだまだ下落する余地が多い。上海株式投資の8割を占める中国人個人投資家は、株式市場から遠ざかり安全な金投資に戻るものと思われる。5月の香港経由の中国の金輸入量は前月比+35%増加している。絶対とは言い切れないが、金価格に少し流れが戻ってくる可能性が高いと思う。

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NY金価格は上昇すると思う。

  • 2015-06-23 (Tue)
  • 近藤雅世
NY金価格は上昇すると思う。

本日の週刊ゴールドに書いたことであるが、NY金価格は上昇するのではないかと予感する。その理由は三つある。
一つは、過去30年間でNY金価格には季節性があり、6月中旬〜7月中旬に底を付け、夏から秋にかけて上昇するという季節変動があるためだ。その主な理由としてはインドのDiwaliや結婚シーズンに向けての需要増と説明されているが、要因は何であれ、過去のチャートの平均価格がそうなっているのが何よりの証拠であろう。
2006年以降で6月22日を100とした指数で見ると、2014年までの間に9月29日に100を切っているのは2014年の92.4のみで、残りの8年間は上昇しており、年末までの高値は平均+16.1%高となっている。
もう一つの理由は、ギリシャを初めとする世界的な金融不安があるためだ。そのマグニチュードは「サブプライム問題後の世界の金融危機」や2011年の「アラブの春」、12年の「欧州債務危機」ほどではないとしても、ギリシャの銀行からは預金引き出しが先週三日間だけで20億ユーロに達し、銀行閉鎖は免れ無い状況となりつつある。本日のユーロ圏財務相会議が鍵となっているが、いずれにせよギリシャ発の余震は欧州全体に資金の逃避を呼び起こすだろう。
更に中国の上海株価は、1ヶ月近く前の5月28日▲321.5,▲6.51%の暴落を経験したが、先週金曜日再び▲307,▲6.42%の下落をみせた。先週1週間だけで▲688,▲13.3%の下落である。日経平均株価で言うなら、1日で▲1900円、一週間で▲2690円下落する幅である。
また、米国では債券バブルとなっているという。先週金曜日は債券市場から60億ドルもの資金が引き出されたが、これは債券バブル崩壊を警戒したものだという。
これらの金融不安から預金や株式投資、新興国投資、債券投資などから資金が引き上げられ、その一部は金投資に回ることは十分考えられる。
最後の理由は少し先の長い話であるが、今はドルバブルである。為替市場はドルの独り勝ちで他の通貨が売られてドルが買われている。しかし、買われ過ぎはいずれ是正される。ドルが買われている理由は利上げである。米国以外に利上げができるほど経済基盤がしっかりしている国は少ない。だからイエレン議長は早めに利上げをしたいと思い、ラガルドIMF総裁は未だ早過ぎると牽制している。9月に利上げがあるかわからないが、来年初めまでにはあるだろう。その利上げが迫ってくれば買われている大量のドルは売りに転じるであろう。そうなれば金および商品価格は値上がり始めるきっかけとなると思われる。

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