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過去の記事 - 2020 / 02 -

四つのリスクマネージメント(その2:休むも相場ルール)

    二番目のルールはいつも取引を行わないということ(休むも相場ルール)である。

    どんな投資でもそうであるが、先行きの見通しがあって初めて、投資を行うのが鉄則である。目を瞑って投資するとしたら、それはギャンブルに等しい。投資とギャンブルの違いは、ギャンブルは全く予想できない一か八かの賭けであるが、投資は、将来の価格の展開を予測する材料があり、予測に基づいて行うものである。

    投資した商品の価格が上がると思ったときだけ買い、下がると思ったときだけ売る。休むも相場という言葉があるが、価格に大きなトレンドが出るのは年に1〜2度である。それぞれの商品によって価格変動要因は異なるが、価格が横ばいになっていることも常時ある。資産が大きく殖えるには、価格が大きく動く千載一遇のチャンスを待つ必要があり、常時取引してはいけない。

    株式市場は新型コロナウィルスの世界的な蔓延を恐れて、急落した。このことを事前に予想することは難しかったであろう。株価がどこまで下がるかは今のところ見通し難であるが、どこまでも下がることはあり得ない。現在の投資のチャンスは、株価を安値で拾うこと、或いは高値で金を売ることであろう。そのタイミングは難しいが、かなり確度の高い投資となるだろう。なぜなら、こうした価格のスパイクは必ず元に戻るという過去の法則があるからだ。ただ、そのタイミングを測るのは至難の業なので、コマセを撒くように、何度か当たりを試すしかないだろう。少ない資金の場合は小さく取引することである。そして3番目のルールである損切りは必ず入れる必要がある。

四つのリスクマネージメント(その1:5分の1ルール)

    商品先物市場で資産を殖やす人々にとって、四つのたいせつなリスクマネージメントがある。
    マネーマネージメント(例:5分の1ルール)

    その一つは、証拠金に使うために預けた資金の5分の1しか証拠金として使わないことである。これは一つの例であり、必ずしも5分の1にこだわる必要はないが、資金を一度にたくさん使わないという警告である。例えば100万円資金を預けたら、金の取引を2枚以上行わないことである。金の証拠金は約10万8千円(半月ごとに変わる)であるので、たとえ100万円の資金があったとしても、21万6千円以上は証拠金に充当してはならないということである。

    これは過大投資による追加証拠金の発生を防ぐためである。たとえば、100万円で10枚取引を行うと、金価格が10円でも下がると評価損益の1万円/枚×10枚=10万円の追加証拠金が必要となり、更に出資するか、損切するしか方法が無くなる。一日で約100円(評価損失で10万円/枚)価格が動くこともまれにある。10枚売買していれば、100万円の損失が一日で生じることがある。例えば金取引で、10枚ではなく、2枚で取引すれば、一日に100円の価格変動があり、20万円の損益が発生する可能性があるが、追加証拠金は、評価損失が預かり資金を超えなければ発生しないので、20万円損失を発生してもまだ80万円が残っており、追加資金は必要ない。5分の1ルールは投下資金の5分の4を無利子で置いているので、資金効率が悪いように思えるが商品先物取引は一日で利益が証拠金の2倍になることもあり得るハイリスクハイリターンの取引であるため、その程度の余裕は承知で行うべきである。

香港について(その10)

前回香港の話題の最後といいながら、横道に逸れてしまった。今回こそ最後の話題で『取引は信用第一である』というエピソードだ。筆者は非鉄金属部門の代表として香港に駐在していた。香港には非鉄金属総商会という団体があり、その董事長はセントラルの小さなビルの二階に、小汚いオフィスを構える劉(ラオ)さんであった。赴任当初から日本から来る訪問者の大半は彼のところに連れて行き、香港の非鉄金属事情などをヒヤリングする相手であった。劉さんからもいくつかのオッファーをもらった。その一つが、北朝鮮産の亜鉛地金の日本向け輸出取引であった。それを本店につなぐと、買うことになった。
当時マカオに北朝鮮の代表部があり、おそらく劉さんはそこから取引をつないだものであろう。無事に日本向けのデリバリーが終り、当時亜鉛価格が急騰していたので、本店は大いに利益を上げたものである。
劉さんは、めったに日本人のオフィスに来ることは無い。ところが、ある日突然劉さんが私のオフィスに訪ねてきた。珍しいこともあるものだと応対すると、にこにこと笑いながら世間話の後で、『ところで近藤さん、あなたはあの北朝鮮の亜鉛地金を買った時に、その後亜鉛価格が上がると思っていたか』と問うてきた。若くて勢いのあった私は、胸を張って、それは天下の大商社です。世界中に情報網を持っており、おかげ様であの取引では大きな儲けを挙げさせていただきました。と返答し、劉さんは「ああそうですか、それは良かった」とにこにこと笑ってそのまま帰っていった。しかし、その後の5年間、劉さんは二度と私においしい話はくれなかった。いつも日本からの来客があるたびに会いにいくので、にこにこと応対してくれ、また、劉さんの弟が管轄する少量のスクラップの取引は続いていたが、大口の案件は私が香港を去るまでいただけなかった。そこで身に染みて知ったのは、香港華僑と取引する場合は、お互いに儲けを分け合わないといけないという厳しい原則があるということである。自分だけが儲けてはいけないのである。ましてや人を騙して儲けた場合は、その人は村八分に会い信用を失うことになる。ひとたび一人の華僑からは相手にされなくなると、他の華僑からも相手にされなくなるのである。それは私がいかに日本を代表する企業に勤めていようと関係ない、個人の話しであった。華僑が取引するのは、企業相手ではなく、個人対個人の取引であった。私が勤める企業の問題ではなく、私が信用できる人間かというのが判断基準であった。それに気づいたのは、もう香港を離れる頃であった。もし、劉さんに対してあんな大口をたたかずに、利益は折半という華僑との取引の大原則を守っていれば、私は香港駐在時代にもっと更に大きな実績を上げることが出来たであろう。

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