商品相場専門のアナリストが、独自の視点で最新の相場動向を分析! 先物投資で利益を上げるためのコツとファンダメンタルが学べます。株式、為替以外をポートフォリオに!と考えている投資家にもおすすめです。

Home > 過去の記事 > 2017 / 04

過去の記事 - 2017 / 04 -

閑話休題

フランス大統領選挙が順当な結果に終わり、5月7日の第二回決選投票もマクロン氏が勝つという予想が大勢を占めている。そのため地政学的リスクを見込んだ金価格や米国債価格は下落し、ユーロは上昇、円は円安になっている。一方北朝鮮は、カールビンソンが自衛隊との共同訓練を終えて北上しており、原爆施設を叩くかどうかが焦点となっている。かってイランの原爆開発にイスラエルがフランスからイランに核燃料が届き火入れする直前に爆撃で破壊したことがある。際どい作戦だったが、それにより戦争にはなっていない。 

今回も中国は核施設の攻撃だけなら許すであろうと評論家は述べており、一方北朝鮮は、中国に対しても強い言葉を使い始めている。こうした情勢はお茶の間のテレビで十分解説されているので詳細は譲るが、地政学的リスクはすぐそこにあるのは間違いない。
以前北朝鮮のミサイルが青森県を超えて太平洋に落ちた時、海外の金価格は軒並み上昇したのに、日本の金価格はのんびりと構えていたことに驚いたことがある。今回も日本の金市場には当事者意識はないかもしれない。残念なことである。

中国は年内にも原油を上場しようとしており、自分が使うものは自分で値段を決めるという確たる方針がある。政府の用意した市場に多くの投機家が自分のリスクで投資をしている。日本人は自分の財産ですら投資信託など運用を人任せにしがちだが、中国人の金に対する執着は強い。

インドではかなり複雑な状況になっている。10年越しで日本の消費税に相当する物品税を7月1日に施行しようとしている。税率は5%から最高29%まである。贅沢品は29%になるというので、インドの貴金属業界は戦々恐々としている。これはインドという新興大国が、今だに国民の2%しか税金を払っていないという現実を、何とか変えようとするモディ首相以下政府役人の必死の徴税努力であるらしい。近代化への道は未だ険しいようだ。昨年インドの金需要は2009年以来の低い水準に激減したが、今年もまだ回復するかどうかはわからない。金投資も長い目で見た方が良いかもしれない。

朝鮮リスクで金価格上昇中

NY金価格が上昇している。昨年は1月から7月までの間に3割NY金価格は上昇したが、今年はそれほどではないが既に1月から1割以上上昇しており1300ドルに近づいている。直近の上昇の要因は北朝鮮問題による地政学的リスクのためである。VIX恐怖指数が急騰しており、米国債等の金利が低下し、それだけ米国債は買われている。同様に金も欧州を中心にETF残高が増加しており、安全資産への資金の移動が見られている。オーストラリアに向かっていた米国空母カールビンソンはインドネシア沖から変針して、日本海に向けて北上中であり、今後何が起きるかということは、世界の目が注目している。Wall Street Journalの記事やテレビの解説等を総合すると、米トランプ大統領と中国習近平国家主席はフロリダにおける会見で北朝鮮の現政権は維持させるが、核開発やミサイル発射は容認できないとの意見で一致したという。一方、北朝鮮は米国や中国の圧力で核開発を止めるとは全く思えないという。両者の接点を今後どのように取るのかは微妙な問題である。
トランプ大統領は国内で移民の問題は司法の壁に会い、オバマケアの代替法案は議会の承認が得られず、暫定予算はいまだに組まれていない。大統領の支持率は低下し、米国各地でトランプ大統領の税務申告を公開せよとのデモが繰り広げられている。こうした内政の失敗は、海外で緊張状態を作ることで目を反らす方針を取らせるものと思われ、米軍部のタカ派の意見を取り入れシリアを攻撃し、アフガニスタンに地甲爆弾を落としてイスラム国の地下トンネルを破壊するなど、軍事的対応を続行している。
日本は、北朝鮮がまず狙うなら在日米軍施設である佐世保と岩国だと標的を新たにしているので、本来はもう少し緊張感があってもよさそうなものだが、日本も韓国もタカをくくっており、円は安全資産として買われている。
北朝鮮が戦争を仕掛けてくるとはまず思えないが、海外の資産家はその可能性を見て金を買っているので、ここは一緒にわれわれも資産を金に移すべき時ではなかろうか。

4月に穀物を買ったら?

先週と先々週の株式会社コモディティーインテリジェンスの週刊穀物(毎週水曜日発行)に書いたことであるが、毎年4月1日にシカゴトウモロコシ、シカゴ大豆を買うと、過去10年間で7月末までに価格が4月水準よりも上昇した確率はシカゴトウモロコシが59.8%、シカゴ大豆が65.2%、東京トウモロコシは、62%、東京一般大豆も62%であった。約6割が4月から7月末までの間に価格が上がっている。中には4月1日から上がりっぱなしの年も、2010年11年、16年とシカゴトウモロコシは3回、東京トウモロコシは8年、10年、13年と3回あり、シカゴ大豆は8年、9年10年など、4月1日の価格を少し下回ったこともあるがほぼ上昇したというのは、12年、13年、16年と6回もある。東京一般大豆では、07年、08年、09年、ほぼ上がりは13年であった。
6割の確率というのは相場ではかなり大きな当たり確率である。
要するに、4月1日の時点では旧穀についてはほぼ世界の生産量は確定しており、残る情報は需要の動きだが、これはそれほど大きく変わるものではない。一方新穀は4月から6月ころまでに作付けされて、その後7月にかけて生育期を迎え、秋の収獲までは天候相場となる。現時点で天候に関する情報は皆無に等しく、今年はエルニーニョになるかもしれないという情報は気象庁から約4割の確率と公表されているが、エルニーニョがトウモロコシや大豆に与える影響は過去の統計でも明白な因果関係を認められていない。需給の情報としては、3月31日に公表された作付け意向面積のだけが新穀に関する唯一のデータである。今年の場合、一昨年来の豊作で在庫が多いが、これは既に価格に十分織り込まれており、今更ショートする勇気はない。ということで、春になれば宝くじを買うような気持ちで穀物を買う人は多いのではなかろうか。何事も無ければ価格は7月頃にダレルが、仮に6月以降雨がそれほど降らないようなことになれば、干ばつによる大相場が期待される。
こうした季節要因が相場の動きに見られるのは、穀物だけであり、また、ほぼ今の時期だけである。

フランス大統領選挙の行方

<フランス大統領選挙の下馬評>
4月23日に第1回目の投票を控えるフランス大統領選挙では、独立系候補で初出馬のエマニュエル・マクロン前経済・産業・デジタル相が、急速に支持率を伸ばし、マクロン旋風を巻き起こしている。極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏との一騎打ちの様相となってきた。最近の世論調査ではルペン氏27%、マクロン氏25%、フィヨン氏20%とマクロン氏がルペン氏に迫る勢いを見せている。フィヨン元首相は妻らの架空雇用による公金流用疑惑で支持率が落ちている。

<エリートマクロン>
 マクロン氏は神経学者の父親と医者の母親の家庭に産まれ、パリ第10大学に入学し、ヘーゲルに関する論文で学位を取得した。その後はパリ政治学院及び、エリート養成校の国立行政学院(ENA)を卒業。会計検査官としてキャリアをスタートし、30歳でロスチャイルド銀行に転じ、わずか2年で副社長格に上りつめた。12年に社会党オランド政権の大統領府副長官に就任。大統領のブレーンとして頭角を現し、14年には経済・産業・デジタル相として36歳の若さで入閣。また大恋愛の末24歳年上の妻がいることでも知られる。
 
 2016年4月に政治グループ「En Marche!(前進!)」を結成。社会党とたもとを分かち、大統領候補として選挙活動を始めた。今年6月の国民議会選挙で全577選挙区に候補者を擁立すべく準備を進めている。「マクロン旋風」の背景には、既存政党への強い不信感、極右勢力拡大への警戒感がある。支持者の多くは企業経営者や大学生、エリート層などいわゆる都市部のエスタブリッシュメントだ。若年層の失業率が25%に上ることもあり、既存政党への失望感は大きい。若者がネットを通じて政策を議論していく動きは欧州全体に広がっており、フランスも例外ではない。

<農業基盤のルペン>
 一方、ルペン氏は移民問題や農業政策で政府への不満を募らせる高齢者や失業者、下層労働者からまんべんなく支持を集め、地方で35%の支持を得ている。「EUから主権を取り戻せ」「移民排斥はフランスだけではない」と過激な言葉で訴え、移民排斥やEU離脱を問う国民投票の実施など、内向き・保護主義的な政策や、法人税率の恒久的な引き下げ、農村向けの補助金拡充など積極財政を主張する。
 
 目新しさと勢いで支持を拡大してきたマクロン氏に比べてルペン氏の支持は強固だ。特に農村部で支持を固めていることは、選挙戦で有利に働く。フランスはEU最大の農業国でEUの農業生産額の3割(668億ユーロ、約8.2兆円)を占める。農産品の輸出額は世界第2位を占めるが、多額の補助金で農業生産者を支えているのが実態で、農業基盤の弱体化が進んでいる。東欧・南欧から安価な農産物や加工品が流入し、ハンガリー産フォアグラの価格はフランス産の5分の1で、ワインやチーズ等の加工品もEUからの輸入に押されている。フランス農家の収入は以前に比べ3〜5割減少し、農民のEU離脱への思いは強い。
 
 浮動票が期待のマクロン氏が勝つか、農民を支持基盤とするルペン氏が勝つか経済停滞を背景に台頭するポピュリズムに対して、マクロン氏が新しい成長戦略を打ち出すことができるか。5月7日が見ものである。
 
 NY金価格は上昇している。米国の利上げが終わり、トランプ大統領が政治的失態を見せているためだ。史上最高値を付けていた米国株価は少し反落しているが、トランプ政策への期待が大きかった分だけ下げも大きいと思われ、株式市場から逃避した資金はとりあえずセーフヘブンの金に向かうだろう。欧州で異変があれば、金への資金移動はさらに拍車がかかるものと思われる。

過去の記事

Home > 過去の記事 > 2017 / 04

1. 免責事項
  • 掲載される情報は株式会社コモディティーインテリジェンス(以下「COMMi」という)が信頼できると判断した情報源をもとにCOMMiが作成・表示したものですが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、COMMiは保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
  • 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。
  • 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はCOMMiに帰属し、事前にCOMMiへの書面による承諾を得ることなく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
  • COMMiが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
  • 本資料に掲載される株式、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢などの影響により、その価値を増大または減少することもあり、価値を失う場合があります。
  • 本資料は、投資された資金がその価値を維持または増大を保証するものではなく、本資料に基づいて投資を行った結果、お客様に何らかの障害が発生した場合でも、COMMiは、理由のいかんを問わず、責任を負いません。
  • COMMiおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場合があります。
  • 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。
  • 以上の点をご了承の上、ご利用ください。
2. 商品先物取引の重要事項
商品先物取引の重要事項はこちら >>
3. ディスクローズについて
当社のディスクローズ資料は当社本支店および日本商品先物取引協会(本部・支部またはホームページ)で閲覧できます。
日本商品先物取引協会ホームページ >> [情報開示]
サンワード貿易ホームページ ディスクローズ情報>>
サンワード貿易お客様相談室
<北海道>電話:0120-57-5311  /  <関東>電話:0120-76-5311  /  <関西>電話:0120-57-5311
キーワードで検索
Feeds

Page Top