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過去の記事 - 2017 / 07 -

穀物価格は乱高下中

大豆やトウモロコシは今が天候相場の佳境にある。7月初めから米国中西部では適度な降雨があり、先ほど(米国時間月曜日午後4時)公表されたCrop Progressにおける作柄は、7月23日の段階で優と良が、トウモロコシは62%(昨年は76%)、大豆は57%(昨年は71%)となっている。大豆は先週61%だったので、作柄の悪化が見られ、またトウモロコシも大豆もVery PoorとPoorの合計がそれぞれ10%(昨年は5%)、14%(昨年は7%)とデキの悪いモノ昨年の2倍になっている。

小麦が米国北西部ノースカロライナ州周辺で干ばつが発生し、春小麦の優と良は33%(昨年は68%)に大幅減、Very PoorとPoorの合計も40%(昨年は8%)と壊滅的な打撃が出ている。そのため、シカゴ小麦価格は6月27日の453.25セントが7月5日574.5セントに1週間で+121.25セント、+26.8%急騰した。

その後トウモロコシも大豆も、小麦価格も、降雨が観測されるごとに急落し、今週また高温乾燥かもしれないというので先週は買われた。しかし、今週水曜日頃から降雨があると言うので再び下がっている。

過去の話をしても致し方ないが、やはり穀物価格は6月から7月にかけて天井になることが多く、4月くらいに穀物を買えば、何かが起きるという教訓は来年にも当てはまると思われる。

当面は、天候次第で再び作柄が悪化するような高温乾燥になれば、価格は上昇する可能性がある。輸出が好調で、需要は堅調であるため、生産に支障があれば価格は上値を追うだろう。

利上げが遠のき金にフォローの風

イエレン議長は議会証言で、インフレ率がさして高くない現状において、利上げについては慎重に判断するというハト派の発言に代わったことから、米国株価は史上最高値を再度更新し、9月の利上げが遠のいたかもしれないと受け止めた金市場は1233ドルまで上昇している。2015年12月から4回利上げしてきたFRBは、Blainard理事やミネアポリス連銀のKashkari総裁に加え、フィラデルフィア連銀のHarker総裁さえも利上げに慎重な姿勢を示すなど、FOMC内部のムードは変化しているようである。
これによりドルインデックスは安値を更新し、年初の103.21から95.15まで約8%ドル安になっている。ドル安はドル建ての商品価格を押し上げるため原油価格は46ドルになっている。
金価格については、比較的強気で良いと思うが、それでも1300ドル辺りには壁があると思われる。

原油価格は上げの要因はそれほど見当たらず、OPECの減産の順守率は、5月は95%であったが、6月は78%と、アルジェリア、エクアドル、ガボン、イラク、UAE、ベネズエラが目標生産量より多く生産している、また減産対象国でないリビアやナイジェリア、イランも増産している。米国の稼働リグ数も増加傾向にあり、シェール油田の生産コストは8%ほど上昇して45ドル前後になっているとの報道もあるが、コストの安いリグ、油田地帯と効率の悪い油田が相混ざっているようである。原油価格は下値42ドル、上値52ドルの間で動くのではなかろうか。

先行き不透明な時期の唯一の手掛かり

先行きの見通しがわかりにくい時期が年に何回かある。というよりはっきりわからない時の方が多いのかもしれない。金も原油も穀物も、今この時期は上がるか下がるかなかなか方向感がつかめない。金価格は利上げされた後なので、これまでの利上げ後の動き通りになれば次の利上げが近づくまで上昇するはずだが、米国株価等が堅調で、世界の景気に陰りは無く、金融不安や不良資産は見当たらず、あったとしても中国の銀行等がそれを十分管理している。
トランプ大統領は、様々な問題を抱えつつも半年の任期をこなし、彼が約束して減税やインフラ投資は影も形もなくなっているのに、米国株価は堅調を推移している。米国のみならず世界の景気は全く問題ない成長を遂げている。
原油価格は下げるところまで下げた結果反発しているが、米国の生産が増加するという弱気なニュースは既に織り込み済みで、OPECの生産増も耳に新しくはない。
唯一現時点で言えることがあるとすれば、NY金に対する売り残が増加していることであろうか。4週連続でネット買い残が減少し、NY金に対するネット買い残は7月3日時点で9万枚まで減っているが、売り残は12万枚まで増加している。4月には7万枚であった。過去の例で言えば、売り残が突出してくるとどこかで買戻しが入り、ガラガラと価格は上げ基調になる。米国株価が急落したりすれば、金価格は短期的に急騰するかもしれない。

欧州のテーパリングは日本にも当てはまる

先週欧州で起きたことは日本にも当てはまる。ユーロ圏の景気拡大はすでに5年目に突入し、高止まりしていた失業率も(まだ高いが)低下に転じている。欧州中央銀行(ECB)の大胆な金融緩和やユーロ安が進行し、輸出の拡大が続いているだけでなく、最近では内需も底堅さを増している。低賃金ながらも雇用が増加したことで、個人消費が順調に拡大し、債務危機の鎮静化で行き過ぎた財政緊縮路線が軌道修正され、財政面での足枷も無くなってきた。金融緩和の効果浸透で企業の資金調達環境が改善し、設備投資も伸びを強めている。景気が腰折れする兆しはみられない。
 こうした中で6月初旬に行われたECB理事会では、これまで「下振れ方向にある」としていた景気のリスク判断を「上振れと下振れが拮抗している(中立)」に変更した。「政策金利は相当の期間、弁財と同じかそれを下回る水準にとどまる」との金融政策の先行きに関する指針(フォワード・ガイダンス)から「それを下回る」との文言を削除し、追加利下げの可能性を排除した。
 ECBはデフレ危機に対処するなか、2014年央に政策金利の一部をマイナス圏に引き下げ、2015年春には国債などの資産買い取り策を開始した。これまでのユーロ圏全体で2兆ユーロ(約250兆)近くの資金を供給し、少なくとも年内いっぱいは買い入れを継続することを約束している。ただ、景気の下振れリスクが後退してことを受け、来年には大規模な金融緩和からの「出口」を開始するのではないかとの見方が広がっている。先日の景気判断の引き上げはこうした地ならしの一環で、秋にも来年以降の段階的な緩和縮小(テーパリング)を決定するとの見方が有力視されている。

 こうした背景から先週のドラギECB総裁のポルトガルでの講演内容を受けてユーロドルは大きく跳ね上がった。ユーロドルは、6月20日の1.1133から6月29日には1.1439まで+0.306ユーロ、2.7%ドルに対して上昇した。ユーロ円で言えば124.05円から128.30円と+4.25円、+3.4%のユーロ高、円安である。
これは、いずれテーパリングがあるということやゼロ金利からの脱却が来年に行われるだろうという予想が、利上げを見込んで逸早くユーロ債券の長期金利を押し上げ、通貨ユーロを買う動きが広がったためである。

一方3日に発表された日銀短観では幅広い業種で業績改善が進んでいる様子がうかがえた。海外景気や個人消費の回復が背景にあり、2017年度の収益や設備投資の計画も堅調だ。機械や素材など大企業製造業の景況感改善が目立った。アジアからのIT(情報技術)やインフラ関連の需要が高まったほか、欧米の先行き不透明感がやや和らいだためだ。景気回復の裾野は中小企業や非製造業にも広がり、個人消費の回復や都市部の再開発で国内需要も底堅さを増している。日銀も「景気の好循環がはっきりしてきた」と強気な見方を示す。景況感が「良い」と答えた割合から「悪い」との回答割合を引いた短観の業況判断指数(DI)は全規模全産業でプラス12。2014年3月調査と並び、リーマン危機後で最高となった。
欧州も日本も消費者物価指数だけが目標を達成する見込みが無いが、景気の回復は実感できるものに変わっている。従って日銀も近い将来ECBやFRBに歩調を合わせ金融緩和の縮小やマイナス金利からの脱却を口に出す可能性がある。黒田総裁の発言次第では、欧州で起きた長期金利の上昇と円高が出現するかもしれない。

また本日付けの日本経済新聞グローバルOutlookで「30年目のブラックマンデー再来か」という記事が載っている。あり得るシナリオとして一読されたい。内容をかいつまんでいうと、1987年のブラックマンデーは、ベーカー米財務長官がシュレジンガー西独連銀副総裁と金融政策をめぐって対立し、マルクが急騰、米国の双子の赤字がドル売りを誘い、ドルが急落、米国株も急落したというもの。今月7日〜8日にかけてハンブルグで20カ国・地域首脳会議(G20)が開催されるが、トランプ大統領とメルケル首相が対立している。トランプ政権の経済運営への信認低下が双子の赤字と同等の効果を生み、ドル安となり、米国株が急落するかもしれないというシナリオである。

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