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過去の記事 - 2019 / 08 -

米中冷戦と金原油価格

最近の金価格や原油価格は、トランプ大統領の発言によって動いている。9月1日に中国の製品3000億ドル相当に対して10%の関税を課すと言ってみたり、中国が譲歩するなら課税措置を引き下げることもあると言ってみたり、25%の関税を課すと言ってみたり、その都度金価格はセイフヘイブンとして上昇し、景気悪化で企業が投資を控えるため原油等の需要は落ちるとして石油価格は下落している。こうした事象、つまりトランプ大統領が次に何を言うかを前もって予想できたであろうか? 中国との事務レベルの交渉は何度も会議が行われたが妥協点が見いだせなかったことはニュースでわかっていた。しかし大阪で開催されたG20サミットではトランプ大統領と習近平国家主席は会談を開き、会談直前には課税すると述べていた措置をトランプ大統領は取り下げていた。

大和総研のレポートによれば、表向きの理由は7月31日に上海で行われた米中閣僚級協議で進展が見られなかったことだという。しかし同レポートが推測するに➀ 北戴河会議と10月1日の建国70周年記念式典を目前に控えた習近平国家主席の面子を潰し、中国内政における求心力を殺ぐ目的があったという。◆ヾ慇任糧動により米国経済が受ける打撃を軽減する財政金融政策の準備が整ったことも見逃せないと指摘している。FRBが利下げと共にバランスシートの調整を早々に打ち切るとしたこと、及び共和党・民主党が歩み寄り、債務上限と裁量的支出上限の両方が10月からの会計年度で引き上げられることになった。こうした前提を読み解いていれば、トランプ大統領の発言もある程度予測できたのかもしれない。また、米国内経済への影響を配慮して25%の課税ではなく10%としているという。企業は25%の課税に引き上げられる前に生産国を中国から他の国に移転する時間稼ぎだともいわれる。

今後の焦点は中国の出方であるが、妥協することはまずないだろう。報復関税も昨年行ったが、中国国内にも打撃を与える。米国の対中強硬策は、トランプ大統領独りの発案ではなく、超党派の意見だというから、米国が中国からの何の反応もなく措置を撤回することはないだろう。逆に中国は貿易という枠組みを超えた問題で米国に対抗しようとするかもしれない。いずれの場合も金買い、原油売りの市況は続くことになりそうだ。

噂と価格

先日知り合いと話をしていたら、以前原油価格が147ドルまで上昇したのは、ゴールドマンサックスのやらせだったのですねと確認された。その通りであり、私は当時からそのことを知っていたため、原油価格が上昇するたびに、これは架空の価格ですよとセミナーで説いて回っていたが、現実には原油価格はどんどん上がり2007年1月の51ドルが、2008年7月には147ドルまで上がったものである。その後急落して2009年1月には33ドルになった。3倍増の5分の1まで低下というチャートである。
商社にいる頃は、現物中心の仕事であったため、こうした需給を反映しない金融商品的な動きにはついていけなかったが、ファンドの世界を経て金融の世界に入ると、こうした人々の噂が価格を形成することが往々にしてあることがわかった。逆に商社の時代はパラジウムで代表されるように、価格は需給で決まると思っていた。パラジウムの場合は、自動車メーカーすべてとローム、TDK、京セラ、村田製作所、太陽誘電等のコンデンサーメーカーが価格に糸目をつけずパラジウムを必要としており、大量の注文が私のいた商社に入った。そのためロシアや南アに飛んで、かき集められるだけのパラジウムを買い込んだものである。先物取引がある商品は価格を無視して買えば良い。またメーカーは少々の材料価格の値上がりなど、工場を止める損失に比べれば何のことはない。そんな当時ある商品取引員の方から、パラジウムは高過ぎますよねと聞かれ、「そんなことはありません、どこまででも上がります」と答えたことを覚えている。需給さえ見ておけば価格の予測は容易であったため、未だに、商品価格の予測を需給から追っている。最終的には商品価格は需給で決まると思っているが、噂が価格を形成することもよくある。
ゴールドマンサックスのピークオイル論は、やらせのポジショントークであったことは今でははっきりしている。いや当時からはっきりしており、私はそれを説いていたが、価格は私の言う通りにはならなかった。
需給がタイトでなくとも、タイトだと人々を思わせれば、少なくとも一時的に価格を操作することは可能である。ネット時代は噂は以前より早く広まりやすい。噂に乗って取引するのも良いがあくまで噂に過ぎないという冷静な判断もするべきであろう。

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