商品相場専門のアナリストが、独自の視点で最新の相場動向を分析! 先物投資で利益を上げるためのコツとファンダメンタルが学べます。株式、為替以外をポートフォリオに!と考えている投資家にもおすすめです。

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過去の記事 - 2019 / 03 -

市場内部要因分析2

ファンドの建玉の分析は、一つの商品に対するファンドの買い残がどうなり、売り残がどうなっているかを見ることと共に、商品や金融商品全体に世界中の資金が流入しているか、流出しているかを見るのも一つの見方である。資金が流入していれば、流動性は高まり、価格は大きく動きやすくなる。言ってみれば景気が良くなるイメージである。一方資金が引き上げ始めると、市場が寂れることになる。東京商品取引所も以前ほどの活気がなくなり、身売りされることになっているが、これも資金が流入しなくなったことが主因である。景気が良いというのは、客の入りが良いことにつながる。
商品全体に資金が入っている時は、価格が上がる時も下がる時も勢いがつくことが多い。流れが強いと少々の反対勢力は吹き飛ばされて、大相場ができやすい。そうした資金が入っているかどうかを見るのは、商品市場の出来高をみることも一つであるが、ファンドの建玉も一つの目安となる。
商品や為替、債券や株式等に対するファンドの建玉は、通常は週ごとに買いが出たり、売りが出たりするが、時には何週も連続して買われたり、売られたりする。そうなると価格にトレンドが出ることになる。また、何週も買われていると、そろそろ手仕舞いするのでないかとの目安にもなる。勢い良く行き過ぎたものは元に戻る時も勢いがある。
昔は、穀物に対するファンドの建玉は少なく、またファンドの建玉と価格の関係は金や原油ほど高くはなかった。なぜなら、穀物にはローカルズと呼ばれる穀物専門の投機家がシカゴ市場で大きな資金を動かしていたため、ファンドが買っても価格にはそれほど影響はなかった。しかし、最近ではトウモロコシや大豆に対するファンドの建玉のネット買い残の相関関係は依然よりは高くなっている。
ファンドの建玉を記帳するのは毎週土曜日の日課となっているが、かなり面倒な作業であり、根気のいる作業であるが、それだけ相場を読むのための一つの方法となっている。

市場内部要因分析

『市場内部要因分析』
価格を予測する方法には『ファンダメンタル分析』『テクニカル分析』と共に『市場の内部要因分析』がある。

市場は売りと買いが一致する勢力図で価格が決まっている。昔あったゴムの立ち合い場では、演壇に立った取引所の職員が、階段状の机に座った取引員の代表者が手を振る数を数えて売りと買いの手が揃ったところで価格を決めていた。現在はそれをコンピューターシステムの中で行っているが、メカニズムは同じであり、売り買い同数の価格を現在の価格と認識する。ザラバであれば、一刻一刻その価格は動いていく。ザラバとは取引所での競(せり)売買により値段を決定(約定)する方法の一つで、多数の売り方と買い方が値段を競い合い、値段と数量が合致したものを個別に成立させる方法のことを言う。ザラバ仕法は一定の取引時間内に出された注文を「価格優先・時間優先の原則」にしたがって順次(連続)に約定させていく。売り買いの差は成り行き注文が埋めていく。

市場内部要因とは、誰が何枚の買いを出し、誰が何枚の売りを出しているかという市場参加者の顔ぶれとその動きを追うものだが、残念ながらすべてがコンピューターで行われている現行の取引では、臨場感のある売買動向はわからない。また東京商品取引所では個々の取引員の売買状況を公表しておらず、取引終了後に公表する上位10社の売買高程度しか情報はない。

米国ではCommodity Futures Trading Commisionが毎週金曜日午後3時半に公表するCommitments of Traders(COT)Reportsというものが週一回日本時間では土曜日の朝に最新のものを見ることが出来る。最新と言ってもその週の火曜日のトレーダーの売買ポジションがわかるだけであるが、後付けで大口トレーダーが何をどれだけ売買しているかを数値的に見ることができる。これを筆者はファンドの建玉と呼んでいる。これらのデータはFCM(先物取引業者)、クリアリングメンバー、外国のブローカー及び取引所が寄せられており、取引者のカテゴリーごとに分けてその建玉(Open Interest)、買い残、売り残が公表されている。カテゴリーは数種類に分かれており、先物とオプション、指数取引の分類があり、筆者はFutures and Options Combined Reportを集計している。一枚のエクセルのシートだけで、256の市場が書いてあり、商品から金融商品、為替等の市場がある。また、取引者のカテゴリーはNon Commercial(当業者以外)とCommercial(当業者)がある。筆者は26市場のNon Commercialを毎週土曜日の朝集計している。
金や原油、穀物等の商品ごとのレポートにはできるだけ最新のファンドの建玉の動きを記し、火曜日発行の週刊経済指標には、26市場の過去2ヵ月ほどのネット買い残の動きを表にして記しているが、これらはすべて過去のデータであり、最新の数値でもすでに1週間以上は経過している。その間に価格が乱高下すれば、ファンドのポジションは当然大きく変わっているはずで、その結果は翌週にしかわからない。従って、多くのファンダメンタル情報同様、データは過去のものであって未来を予測するものではない。過去の相場を語ることはできても、未来を予測するには正に想像するしかない。
ファンドの建玉を使って価格の予想が良く当たるのは過去最大の買い残とか、過去最大の売り残を記録している時である。そうした行き過ぎが修正されるのは相場の常である。
買い残が積みあがっていれば価格は下がりやすいが、明日下がるという保証ではないが近い将来価格は反転するだろうと言う程度の予測は言えるだろう。だが、過去最大は次々と更新することもあり、また過去最大が現れるのはかなり異常な時であり、めったにお目にかかれるものではない。


季節要因のある商品価格の検証

商品価格にどれほどの季節性があるのか。1984年1月から2019年2月までの422ヵ月で、前月比上昇した月と下落した月を、NY原油とシカゴトウモロコシについて調べてみた。
結果は、以下のグラフとなる。
原油は7月に上昇したのが最も多くなっている。次いで3月2月と春先、および4月と8月の順になる。
一方原油価格が下落したのは、10月と11月である。
敢えてその背景を考えると、夏場はガソリン需要が多くなり、原油の需要が多くなる時期であり、4月と10月には石油精製設備の定期修理があるため、10月に原油需要が減少して下落したと言えるかもしれない。


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また、シカゴトウモロコシ価格が上昇したのは、7月が多く、おそらく天候異常が起きた時であろう。次いで3月と2月という未だ何もわからない春先に買われていることがわかる。
下落したのは、6月が最も多くて、次いで7月、その次に4月と9月がある。このデータで見ると、ハーベストプレッシャーで下がるというよりも、6月にその年の夏が高温乾燥にはなりそうもないといち早く判断して売られる方が多いということがわかった。7月は上昇も下落も多い月となっているので価格の分水嶺として異常気象なら上昇し、何もなければ下落する月であろう。

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季節要因のある商品価格

商品価格には季節性があるものがある、その代表的なものは穀物価格だる。北半球では作付けは4月から6月であり、作付けに向けて、何を植えるかを決めねばならない。2月頃に種苗企業から種を購入する。したがって12月から2月頃の穀物間の価格差がその年の作付け量を左右する。高い方、あるいは高くなりそうな方を農民は作付けする。作付けが多いとその後の価格は下がる。3月末にUSDA(米国農務省)から公表される作付け意向面積は一つの目安となり、それを予想して価格は動き、その結果でまた価格は動く。
作付けしても立派に生育するとは限らない。作付け時に大雨が続くと、種が流されてしまう。また種まき作業が遅れる。トウモロコシの作付けの方が大豆よりも早くから行われる。トウモロコシの作付けが遅れると、大豆に切り替えるので、その後の大豆価格が下がってトウモロコシ価格は上がることになる。逆にトウモロコシの作付けが早すぎると、遅い寒波襲来によって霜が降りるとトウモロコシは発芽しなくなることもある。
6月頃に作付けが完了すると、7月初めの天候を待つことになる。高温乾燥となると受粉がうまくいかないので干ばつは価格を押し上げる。また大雨が降って洪水となれば、作付けしたトウモロコシは流されてしまう。
毎年2月から3月頃に今年は干ばつになるかもしれないと一種の賭けに出る投資家もいる。だから2月から6月頃までは価格が上昇しやすい。実際に干ばつになれば、7月初から月末にかけて価格は急騰することもある。
何もなければ、手じまい売りとなるが、それでも2月や3月の価格よりは高いことが多い。
 収穫が順調だと価格は下落する。毎年トウモロコシも大豆も8月末から9月初にかけてはハーベストプレッシャーと言って収穫時の下落となる。この時期はショートポジションを持つ人も多い。
10月頃からは南米の作付けが始まる。北半球と逆転した季節要因が当てはまる。4北半球の4月は南半球の10月、7月は1月である。エルニーニョやラニーニャによる気候変動は、北米よりも南米で影響を受けやすい。
エルニーニョとは南米チリ沖の海面水温が上昇することで、ラニーニャはその海面水温が冷たくなることである。海面水温が高いと大雨が降りやすく、冷水なら寒い夏となりやすい。3月の今頃は南半球では収穫の真っ最中である。3月から4月にかけて南半球から輸出が行われる。
このように、価格に季節要因があるのは、農産物だけではなかろうか。

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