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過去の記事 - 2019 / 05 -

経済ニュースと金・原油価格

現在の主要政治ニュースとしては、トランプ大統領の掲げたいくつかの政策とその波紋が挙げられる。

一つはイランの原油輸出をゼロにする政策である。トランプ大統領がこの政策の意図するところが今一つ不明確であるが、とにかくオバマ大統領と欧州各国が締結した原爆開発停止のシナリオは生ぬるいというものである。
ブッシュ大統領はその背後に軍需産業や石油産業がパトロンとしていた。9.11を契機に父親が敢行できなかったイラクフセイン大統領の抹殺を計ったことは、石油価格引き上げという観点から理が通っている。

一方トランプ大統領は、イスラエル寄りだということはわかっているが、サウジアラビアに対してOPECの減産は石油カルテルだと述べており、必ずしも石油価格を上げたいという明確な意図はないように思われる。それでも、これだけイランに対して厳しい経済封鎖を行えば、イランの革命分子は過激な行動に出ることも十分考えられる。それに対してトランプ大統領はイランと戦争する気持ちは無いという。イランにとって、原油輸出は生命線であり、それを止めることは戦争状態に等しいと思うのだが、トランプ大統領の真意がわからない。

いずれにせよ穏健なロウハ二大統領は、核合意の履行を停止し、イラン原子力庁は20日、同国にあるウラン濃縮施設の低濃縮ウランの製造能力を4倍に増強すると発表した。トランプ大統領の脅しによる対話外交の思惑は外れたことになる。最近イランに行った人のブログを読むと、思ったより平穏な国だという。ただ、物価は上昇しており、人々は不安になっているものと思われ、イスラム共和国軍が先鋭化する可能性が無いとも言えない。

13日サウジアラビアのタンカー2隻とノルウェイ船籍のタンカー2隻が妨害を受け、またサウジアラビアを横断するパイプライン二か所にイエメンのフーシ派のドローンによる攻撃があった。サウジアラビアは、イエメンのイランが支援する反政府勢力の拠点を空爆した。
 
こうした地政学的リスクは原油や金価格を押し上げるが、今のところ事故程度の扱いであり、大きな価格の上げにはつながっていない。しかし、今後さらなる事件が発生すれば、市場は身構えているため価格が上がるのは早いだろう。

マクロ経済の動きと商品価格

 トランプ大統領は商品相場に恰好の材料を与えてくれる。今回は米中貿易協議の最終段階での中国に対するプレッシャーである。25%の関税引き上げは米中貿易協議に対するブラッフであろうが、その都度市場は驚いて反応する。米国株価は急落し、ドル安になり、金は高くなり、原油価格は安くなった。問題は9日から10日にかけての米中貿易協議が開催されるかどうかであり、開催された場合は交渉が妥結するかどうかが、相場師にとっては一種の賭けとなる。その後のニュースを詳細に見ながら、状況に応じて判断することになる。価格を予測できるチャンスは年に数回しかないが、そうした機会の大半は反動である。行き過ぎた価格の反動はいずれ到来し、山高ければ谷深し、逆も真なりである。

米中貿易協議のそれぞれの立場を推測し、どのような交渉になりそうかを推定する。米国にとっても中国にとっても、交渉の決裂はあり得ないだろう。来年に大統領再選を控えるトランプ大統領は、選挙前の米国経済の悪化や株価の下落は望ましいことではない。中国も習近平主席の失策を望む勢力は影日向にいるだろうし、最近の中国経済の低迷は、共産党一党独裁の地盤を揺るがそうとしている。中国国民が不満を持つような政策は採れない。一帯一路の政策には資金がかかるが、このところ国家財政はそれほど豊かではない。食用油の原料となる大豆は思ったほど国産化が進んでおらず、米国からの輸入大豆に25%の関税をかけたため、中国国内大豆価格が値上がりし、国民の食生活に不満が出ると、政権運営に危うさをもたらす。中国としては何としても米中貿易協議を妥結させたい立場だと言えよう。しかし、米国に屈した態度は示せない。弱腰だと反習近平勢力がやり玉に挙げる。

従って、何はともあれ、米中協議が決裂するというシナリオは描き難い。妥結は時間の問題で、条件闘争に過ぎないであろう。ということは、いずれ妥結すればお祭り騒ぎになる。株価は上昇し、ドルは強くなり、結果として金価格は下がり、原油価格は上がるだろう。今の逆の動きになる。その振幅は、上がった幅であり、下がった幅であろう。深追いは禁物で、いずれ逆張りが正解となると読むのが自然ではなかろうか。現在の状況は長続きせず、反動が来るだろうと身構える必要がある。

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