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過去の記事 - 2017 / 10 -

NY金と東京金の関係

最近のNY金価格はドル安で金高、ドル高で金安になっているとあるセミナーで解説していたら、お客様からNY金はドル安で金高になっているなら、ドル安は円高なので、東京商品取引所の金価格は円高の分だけ安くなるはずだ。そうなるとNY金が上がっても東京金は下がることになるのかというご質問をいただいた。論理的には正にその通りである。
しかしながら最近の金価格を調べてみると、2017年1月4日から10月4日までのNY金はドル安で金高になっていたのは正しい。相関係数▲0.72でほぼ逆相関になっている。ところが、東京商品取引所の金標準取引の価格は、ドル円との相関は全く無い。東京金とドル/円の相関係数は▲0.42でグラフを見ても、全く関係性は見いだせない。それではどうなっているのかというと、東京金価格とNY金価格は0.84という高い相関係数で順相関している。グラフで見ると上下動がよく似ている。
これは現在の東京商品取引所の金価格は、ドル/円の為替の動向を見ていないということである。そして、前日NY金が上がれば東京金は買われ、NY金が下がった日は東京金は下げるということになっている。一日遅れのNY金・追随型の価格形成が東京市場で為されている。だから昨日ニューヨークで下がったから今日は売りだという取引が主流となっていることを示している。

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金価格は毎年秋に下がる:8月を100としたNY金の指数

2013年からのNY金価格を8月を起点に見てみると、毎年年末にかけて金価格は下落していることがわかる。なぜかの理由ははっきりしないが、中国の国慶節の金需要のために中国の宝飾メーカーは夏場に金を仕入れる。国慶節が終わると金需要はしばらくお休みとなる。年末にはクリスマス需要があるので、欧米では仕入れが盛んになるが、なぜか年末にかけて金価格は下落する。今年は、9月8日の1362.4ドルを頂点に下落基調となっており、その背景には12月14日のFOMCで米国の利上げがほぼ確定しているので、それまでの間ドル高になりがちであるということが言える。ドル高はドル建ての商品価格を押し下げる。金も利上げが近づけば価格は下落基調になるので、12月までは下がることを覚悟しておいた方が良いだろう。中長期的にはこれから12月までのどこかで買いの底値が現われるだろう。ゴールドマンサックスは昨年の安値の1100ドルまで下がると述べているが、そのあたりまではあり得るだろう。(下グラフはNY金価格を8月1日を100とした指数)
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ハリケーンの後遺症

米国のハリケーンの後遺症として、二つのことが挙げられる。一つは、米国の原油輸出が急増したこと。ハリケーンにより米国内石油精製設備の稼働率が低下したため、原油の投入量が減少した。しかし、米国の石油生産企業は、余剰な原油を海外に輸出することで急場を凌いだ。下のグラフは9月22日までの週の米国からの原油輸出量であるが、急増していることが見て取れる。これが意味するところは、米国の石油生産企業は、メキシコや南米、アジア諸国に原油輸出のルートを確立したことを意味する。米国内で原油が高く売れないなら輸出すれば良いというしたたかな米国石油企業の戦略が見て取れる。一度ルートができれば、後は価格次第であろう。今後アジア等の原油消費国は中近東や、ロシア、カザフスタン、それに北海油田を加えたサプライヤーから原油のオッファーが入り、買い手市場になるだろう。今後需要が伸びるのはアジアの諸国のみであるからだ。
原油輸出が増加したことは、米国の原油在庫の減少となって表れ、WTI原油価格を上昇させた。

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 もう一つの後遺症は、米国の留出油在庫の減少である。下のグラフで右側の留出油(灯油と軽油)が過去5年平均比を割り込んでいることがわかる。この示すところは、今年の冬に寒波が襲来して暖房油の需要が出ると暖房油(Heating Oil)の価格が上昇しやすいと言うことである。ロイターによれば、ファンドは既に暖房油を買い始めているという。

 毎週根気よく作っているグラフがこうした大きな変化をしめしてくれるのは作家冥利に尽きる。

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